台湾と世界の動物愛護

人類の道徳観が進化するにつれて、 動物愛護は普遍的価値の一部となってきています。 動物の生き方と公衆衛生に影響を及ぼします。 アジアにおける家畜動物に対する福祉は西洋社会より遅れをとっています。 ありがたいことに、 台湾では動物愛護団体の活動のお陰で大きな改善を果たしています。 「ケージフリーの卵」の広い採用はその一例です。

●台湾における「ケージフリー卵」の開発

●2015年―農業評議会(COA)が「ケージフリー卵生産システムの定義とガイドライン」を発表

●2016年―「食品安全衛生に関する法律」が改正され、 「ケージフリー卵ラベル」を法的に認定。COAは「政策対応の特別農業ローン」を発表、 これはケージフリー卵の生産農家が3,000万台湾ドルを限度に漁業組合と農業銀行から低金利で貸し付けを受けられるもので、 ケージフリーへの変革を奨励するものです。

●2017年―台湾環境動物協会(EAST)は、ケージフリー連盟(CFA)を設立し、 ケージフリー卵農場を認定農家とするエンブレムを作成。

●2018年―EASTは台湾カルフールと手を結び、全ての支店に「ケージフリー卵コーナー」を設置。 台湾カルフールはケージフリー卵購買ポリシーを採用したアジア初の企業です。

●2019年―台湾カルフールが独自ブランドのケージフリー卵の生産ラインに正式に着手。

●2020年―台湾でケージフリー卵のプロモーション

●2020年10月―台湾IKEAの親会社である「酪農インターナショナル」が、2021年までにIKEAレストラン10店舗(台湾6店、 香港4店)でケージフリー卵を採用することを発表。

2020年10月―EASTは台湾バーガーキングに世界的な傾向であるケージ卵の使用中止を要請。 台湾バーガーキングは、より良い動物福祉のために親会社の公約に従うと答えた。 同社はケージフリーへの移行を加速させるために、 関連する台湾地域内の供給元と積極的に交渉しています。

EASTのスローガン 「幸せな鶏はより多くの卵を産む」 は実際に全ての家畜にいえることです。 2020年、世界は人獣共通感染症のコロナウィルスに衝撃を受けています。 感染症の流行は、 動物虐待の結果であると人間に対する警告です。 ジェーン・グドール医師は家畜動物の福祉について人々に警告しました。

新型コロナウィルスによりミンク農場が閉鎖

ミンクは新型コロナウィルスの影響を受けやすい動物のひとつです。 世界中に多くの繁殖農場があり、 多数のミンクが殺処分されていますが、 オランダの毛皮用農産業も以前に閉鎖されました。 さらに、 他にもあります。 「現代の動物福祉の概念にそぐわない」毛皮産業を廃止すると発表した州もあります。

●2020年4月26日 オランダの北ブラバンド州にある2つのミンク農場で、 ミンクのコロナ感染が初めて確認されました。 これはミンクのコロナ感染の世界初の事例です。 その後、5月には数軒のミンク農場での感染が確認されました。 感染拡大を防ぐために、オランダ政府は6月上旬に殺処分を命じました。

●オランダは世界4位のミンク毛皮生産国です。 約160のミンク農場があります。 8月末の時点で41か所の農場での感染が確認されており、 200万匹のミンクが殺処分されたと推定されます。

●オランダは当初、2024年に毛皮用農業禁止を実施する予定でした。 感染症流行をうけて、 当局は8月末に2021年3月末までに全てのミンク農場の閉鎖を発表しました。 計画の2年6か月の前倒しです。 オランダ政府は、 ミンク農家への補償として、 1億8,000万ユーロ(約230億5,000万円)を当てる予定です。

●7月にはスペインの農場でミンクの集団感染のニュースがありました。 政府は10万匹近いミンクの殺処分を命じました。 その後は農場の衛生管理の強化、 動物輸送や農場間移動を禁止する対策をとりました。 国際的な動きに対応しているとは言えず、 保護団体はミンク農場の禁止を求めています。 スペインには約38のミンク農場があります。

●世界第2位のミンク毛皮生産国であるデンマークも、 6月にミンクのコロナ感染が報じられました。 10月中旬の時点で、 デンマーク北部のミンク農場63か所で感染が確認されています。 少なくとも、 250万匹のミンクが殺処分されたと推定されています。 感染の可能性があり検査中の農場はまだ数十か所あり、 感染は拡大しています。 デンマーク政府は毛皮産業の廃止計画は発表していません。

●上記の国加えて、 アメリカのウィスコンシン州とユタ州のミンク農場でも感染が確認されています。 数万匹のミンクが新型ウィルスの感染により死亡しました。 地方政府による殺処分などの発表は無く、 隔離しているのみです。

感染症関連以外のミンク農場の禁止:

●感染症との関連については言及されていませんが、 世界3位のミンクの毛皮生産国であるポーランドは9月に世界に大きな衝撃を与えました。 与党が1年以内に毛皮用に動物を繁殖や飼育することを禁止する法案を提出したのです。 可決されれば、 国内にある810か所の毛皮農場のうち、 約700か所が影響を受ける事になります。 ミンクの養殖は毛皮用動物の総数の94%を占めています。 他にはウサギ、 キツネ、 アライグマ、 チンチラなどです。 この禁止事項にウサギが含まれないことが最近明らかになりました。

●9月にはミンク農場が4つしかないフランスでも、 5年のうちにミンク農場を閉鎖し、 現代の動物福祉の概念にそぐわない産業を段階的に廃止すると発表しました。