改正動物愛護法が6月に施行されるのを前に、 環境省が定める飼養基準の明確化が話題となっています。
ペットの飼養基準については飼育者の善意に頼るところが多く、 動物愛護意識の低い一部の飼育者によって繰り返される多頭飼育崩壊が後を絶ちません。
例えば、ある飼い主が10匹の犬を劣悪な環境下で飼っていたとします。 その10匹は糞尿にまみれ痩せこけて、 まさに多頭飼育崩壊の状態としかいいようがありません。
この状況に気づいた誰かが警察や保健所に連絡をして多頭飼育崩壊が発覚すると、 ほどなくして保健所が立ち入り調査を行い法に則り改善命令を出します。
ところが、 その飼い主は飼育する犬を10匹から5匹に減らすだけで、 劣悪な環境はそのままに飼養を続けるのです。 後日飼い主に面会した保健所の担当者は 「5匹に減ったので環境が改善した」 として改善命令を終えるのです。
実は、これが各地で頻発している事例であり、 多くの動物愛護家が懸念している問題なのです。
環境省の担当者はこの問題を把握しているのですが、 多忙を極める保健所に更なる業務を押し付けることに躊躇しているようです。
今回の法改正では、 こうした問題を解決する一つの手段として飼養基準の明確化がなされます。
ケージの大きさ、飼い主の適正など多くの基準が明確化されます。 遅くに失している感が否めないマイクロチップの制度化については登録業者の選定を年内に終える予定で、 諸外国に比べれば手ぬるいかもしれません。
犬や猫はもはや伴侶動物として人間の社会生活にはなくてはならない存在です。その犬や猫への動物福祉、 アニマルウェルフェアを向上させていくことが私たちにとって至上命題となっていることは明白です。
これからも世界愛犬連盟は「犬猫肉食用禁止国際条約化」を旗印に動物愛護と動物福祉の世界的な流れを日本にも波及させていきます。
写真:犬猫の殺処分ゼロをめざす動物愛護議員連盟・動物愛護PT(オリジナル)