密輸された154匹の猫の殺処分に台湾市民の怒り

海上保安庁は、ロシアンブルー、メインクーン、ラグドールなど154匹の密輸された猫を発見し、8月21日に全てを殺処分したことに対し、世間は怒りの声を上げています。 (写真は世界愛犬連盟による合成)

毎年8月の第3土曜日は、国際ホームレス動物デーです。皮肉なことに今年の8月21日には、台湾の動物保護にとって最も暗い影をおとしました。台湾政府は、海上保安庁が押収した154匹の密輸猫を、伝染病予防の名目で殺処分しました。猫が捕獲されてからわずか8時間後に殺処分が行われたもので、救済する時間は全くありませんでした。この政府による短時間での殺処分は、世間の反感を買っています。

8月21日の朝、メディアは、海上保安庁が台南で密輸船を止め、ロシアンブルー、メインクーン、ラグドールなど154匹の猫を発見したと報じました。愛猫家や動物保護団体は、政府や立法府に猫の保護を求める嘆願書の準備している間に、午後4時にすべての猫が殺処分さられたことを知らされました。国民は政府の決定に怒りの声をあげています。

蔡英文氏は、国民の気持ちは理解できるが、政府は密輸された動物による病気から家畜を守る必要があるとFacebookで反論しました。安楽死は法的根拠に基づいて行われ、陳吉仲農業委員長は、154匹の猫の安楽死は非常に難しい決断だったこと、そして、国民の怒りや不満を理解し、すべての責任を負うつもりであることを説明しました。しかし、猫は人間に致命的な影響を与える狂犬病を蔓延させる危険性が高いことを強調しました。出自不明の動物は地域の生態系を乱し、人々やペット、野生動物、経済動物などに悪影響を及ぼす可能性があり、密輸された動物に対しては、政府は細心の注意を払うべきであることを説明しました。

犬と猫の輸入に関する検疫規則と、154匹の猫を殺処分した理由を説明する動植物衛生検査検疫局の杜文珍局長。 (出典:動植物衛生検査検疫局)

動物愛護団体は政府の見解に反対しています。世界愛犬連盟(WDA)をはじめとする9つの動物福祉団体が共同声明を発表しました。関連法規を見直した結果、動物に対して直ちに屠殺・安楽死を政府に要求する内容はありませんでした。政府は現行の法律を見直し、改正する必要があります。そうすることで実施内容が人道的な精神に沿ったものになり、検疫上の注意事項を台無しにすることなく、罪のない動物を保護することができるのです。

また、動物愛護団体は、密輸された動物の安楽死に関するすべての記録を公表するよう政府に求めています。その行程が動物福祉や人道的精神に沿ったものであるかどうかの検討を目的としています。すべての情報を包み隠さず、市民に開示すべきです。

この事件では、船長と乗組員だけが逮捕されたり、捜査を受けたりしています。警察が背後にある闇の犯罪の連鎖を掘り下げることができなかったのは残念でなりませんが、動物保護団体は、現在、事件の全容解明を求めています。

154匹の失った命は取り戻せませんが、その死を無駄にしてはなりません。動物保護団体はこの事件を追い続けます!