2022年3月1日、台湾でピットブルの飼育と輸出を禁止する条例が施行されました。ここ数年、ピットブルが人や他の犬に噛みつき、怪我や、死亡させりする事故が多発したため、危険犬種6種類の中で唯一、完全に禁止されました。
農業省は、2020年10月にこの禁止令を示唆しており、飼い主は期限内にペット登録と検査のための申告を済ませるよう求めました。違反者には最高25万台湾ドルの罰金が科されます。その結果、2022年2月24日に2,000匹だったペット登録数は3,722匹に、2月28日には4,686匹に増加しました。2023年2月28日の期限までに、登録ペット数は急増し続けることが予想されます。
ピットブルは評判が悪い犬種で、この禁止令は公共のシェルターにとって大きな問題になっています。他の犬と一緒にすることは薦められません。別々のケージで飼うしかないのです。ボランティアによっては、散歩はおろか、近づくことさえできない者もいます。長い間、檻の中で飼われています。彼らは必死で新しい飼い主を探しているのですが、なかなかうまくいきません。現在、桃園で11匹、台南で7匹、高雄で6匹、合計38匹のピットブルが保護されています。
2022年2月、高雄の川でピットブルの死体が複数発見され、違法ブリーダーに殺害され、川に投げ込まれた疑いがあります。
ソウルくんは、おそらく最も幸運なピットブルで、子供を噛み殺してしまったために屏東県の保護施設に送られましたが、その優しく愛情深い行動から、人々は彼が「殺人犬」とは想像すらできず、子供を噛む前に、自分が攻撃されていると思い、自己防衛のためだったと推測されています。市民の請願のおかげで、ソウルくんは殺処分を免れただけでなく、台北で新しい家族を見つけることができました。
しかしながら、ピットブルという闘犬用に意図的に造られた犬種は、性格的に獰猛な遺伝子を隠し持っており、いつどのような状況でそれが発動するかは分からず、ペットには適さないという専門家もいます。
台湾のピットブル禁止令は、アメリカン ピットブルテリア(又は、アメリカン ピットブル)とアメリカン スタッフォード シャーテリアが対象ですが、他のピットミックスは対象外です。農業省によると、合法的なピットブル繁殖農場は10ヶ所ほどあり、既存のピットブルも規制のもとで繁殖や販売が可能ですが、10年後には無くなっているかもしれません。
世界愛犬連盟(WDA)の創設者である玄陵は、「悪人はいるが、悪犬はいない」と常々言っていますが、人間のエゴと不幸な運命によって人生が決められてしまったピットブルたちにも、それが表れています。登録された4,686頭のピットブルが、円滑に幸せな生活を送れる事を祈っています!