日本の動物愛護事情

日本では、2021年6月の動物愛護法が改正され、ペット飼育業者の従業員1人あたりの飼育頭数や飼育場所の広さなどの制限が設けられました。

その法改正から3年の猶予期間中に13万匹以上のペットが行き場を失うと言われています。

各自治体の動物愛護センターでは、動物の引き取りを拒否することができるということもあり、引き取り屋の暗躍がいっそう懸念されています。動物愛護活動をしている方達ならご存じだと思います。ペットショップの売れ残りや、悪質なブリーダーにより廃棄されるペット達を1匹数千円から1万5千円程度を引き取り屋に支払い、引き取ってもらうのです。

引き取られたペット達の多くは、世話をされることもなく、せまいケージの中で飼い殺しにされるのです。犬肉料理店に売るとか、動物用の飼料に使うなどという噂も耳にします。また、食用にするために殺害したのではないかと思わせるような動物虐待事件が起こったりしています。犬猫食用禁止の法制化を提唱している世界愛犬連盟としては、大変に危惧するところです。

ペット産業において余剰とされた犬や猫を保護したり、殺処分の期限が迫る犬や猫を動物愛護センターから引き出すボランティアの活動家や団体は数えきれないほど存在します。今や、これら民間のボランティアなくして日本の犬や猫の保護は不可能な状態といっても過言ではありません。

各都道府県に設置されている「動物愛護センター」の数は全国で129か所(令和4年4月28日環境省発表)です。この129か所の他に、各自治体の努力により設置されている動物保護施設や、昔から存在する保健所運営の動物収容所などがあります。しかし、いずれの場所も収容数は限られており、人員も設備も十分ではないのが現状です。 

犬猫の殺処分ゼロが叫ばれ、動物愛護の意識が高まる中、多くの動物愛護センターでは、収容期限が延長され、譲渡に適正と判断される場合は、譲渡されるまで保管する仕組みになってきましたが、未だに期限を設けているところもあります。時代遅れの収容所のようなセンターから、保護動物を適切に飼養し、人と保護動物が触れ合える場を設けることで積極的に譲渡を推進するセンターへの転換が潮流となっています。近年では、譲渡の相談のみならず、保護動物を通して命の大切さを学びながら、何時間でも過ごせるような施設へと変化しつつあるようです。

ボランティアの人や地方自治体が犬や猫に愛情を注ぐ一方で、予算を決め、法律をつくるのは政府です。国民に貢献し、時には癒しまで与えてくれる犬や猫を守るために動くべきは政府であり、国会議員です。

犬肉の流通が産業化している韓国でさえ、政府が犬食禁止に動いており、大統領夫人による「犬肉を禁止にすべき」というツイッター投稿が話題になっています。日本では、私達は犬や猫を食べないと言いながら、愛護動物である犬や猫の食用を許しつづけることは矛盾でしかありません。

今、日本では第26回参議院議員通常選挙の真っただ中です。7月10日が投開票日ですが、動物を愛する国会議員が一人でも多く誕生することを願っています。そして、犬猫を守るためにさらなる法改正や立法がなされることに期待します !