野良犬に餌を与えるべきか?台湾の動物・野生動物保護活動家が対立

野良犬は世界中のあらゆる国で問題になっていますが、餌を与えるかどうかで論争になることは稀だと思います。しかし、動物福祉と多元主義を重視する台湾では、野良犬保護団体と野生動物保護団体の間でオンラインバトルが繰り広げられています。

2020年に発表された政府の調査によると、台湾は2017年から殺処分ゼロ政策を実施しており、国内の野良犬の数は155,869匹と推定されています。また、愛犬家の中には、ボランティアで餌やりや治療を引き受ける人もおり、愛護親と呼ばれています。

問題は、野良犬が集団になると、どうしても車を追いかけたり、人に噛みついたり、他の犬や猫、野生動物に襲いかかったりすることです。野良犬への餌やり禁止を支持する人たちは、次のような主張をしています。

 ●野良犬の寿命は2~3年だが、餌を与える事で5年、10年と延びる

 ● 野良犬が集団化するのは、餌を与えるから

● 犬には狩猟本能があり、野良犬の群れは野生動物をゲームとして狩り、餌をもらってエネルギーが有り余っているときは、非常に殺傷能力の高い動物になる

●野良犬を捕まえて去勢/避妊するには、餌やりしかなく、去勢/避妊は野良犬を減らすための正しい手段

● 餌付けをすると、野良犬は動き回らず、一か所に居ついてしまい、管理が難しくなる

● 野良犬が飢餓状態になると、野生動物を食べてしまう事もあり、危険

皆さんは、どちらの主張が妥当だと思いますか?

結果的に、双方とも意見交換を重ね、野生動物の保護生息地から野良犬をできるだけ遠ざけるべきであり、そのエリアでは、当然、餌付けはしない。それ以外の場所では、公共の安全と衛生の原則に従って餌やりを行うべき、という基本的合意に達しました。

懸念されるのは、野良犬の問題がまだ解決していないこと、そして野良猫も潜在的な問題になっていることです。農業委員会が発表した2021年の台湾の飼い犬・飼い猫数調査によると、飼い犬は123万匹以上、飼い猫は87万匹以上となりますが、2017年から2021年の間に、飼い犬は170万匹から123万匹に減少し、飼い猫の数は、20%以上増加しています。