相次ぐ地震で台湾のペットオーナーの関心が高まった「ペットの防災」

2024年4月3日、台湾の花蓮で震度6強の地震が発生。これをきっかけに、動物愛護団体が「防災及び保護に関する法律」に動物救護を盛り込むよう呼びかけただけでなく、多くの犬猫の飼い主がペットの防災の重要性を認識し、災害が発生したときにペットと一緒に安全に避難できるような備えが必要だと考えるようになりました。

実際、ロシアによるウクライナ戦争が勃発した2020年には、世界愛犬連盟(WDA)は、多くの犬や猫が放棄され、避難しているのを目の当たりにし、犬を緊急収容するための大型の可動式犬小屋を建設することを思いつきました。2024年5月現在、WDAは緊急事態に備え、台湾の新北市動物保護事務所にこの可搬式シェルターを60セット寄贈しています。

(写真左)高雄市動物保護局が作成した「ペット防災・保護推進マニュアル」
(写真右)Caring for Life協会が作成した「ペット防災カード

花蓮の地震で住宅ビルが転倒。市民の見守る中、中に閉じ込められた5匹の猫と10羽の鶏が、慎重に現場作業員によって救出されました。しかし、動物愛護家たちは、「防災保護法」に動物救助の規定を盛り込むことを提案し、専門の動物救助チームの設立を求めました。この署名運動は3000人近くから支持と署名を得ました。

しかし、多くの飼い主にとって、発災後の救助は、災害前の予防や安全な避難よりもはるかに 重要度が低いのです。そこで、市販されているペット防災キットなど、ペットの防災に関する情報に注目するのです。台湾高雄市動物愛護局では、2016年にいち早く、日本の東京都に倣って「ペット防災・保護推進ハンドブック」を作成しました。飼い主の責任と防災の概念を網羅し、「ペット防災3R」Ready(準備)、Refuge(避難)、Responsibility(責任)を掲げています。

世界愛犬連盟は、災害時の緊急避難所として使用できる、持ち運び可能な大型犬舎を考案しました。台湾の新北市は、このシェルターを60セット受け取っています。

高雄市動物保護局がペット防災マニュアルの普及に積極的に取り組んでいるほか、動物保護団体「Caring for Life協会」もペット防災の普及に力を入れています。この団体は、小学校の低学年、中学年、高学年を対象に「動物愛護根幹教育綱領」を作成し、教師が使用できるように3セットの授業案を提供しました。これにより、生徒たちは防災の概念を確立するだけでなく、犬猫を守る方法を理解することができます。

また、Caring for Life協会が発行する「ペット防災カード」によると、犬猫のマイクロチップ装着、社会化訓練、近隣住民との助け合いの関係づくり、防災・避難情報の収集など、飼い主が実践すべき防災のあり方を示しています。この啓発活動は2018年から実施されています。今年の花蓮地震をきっかけに、ペット防災の考え方が各教科書出版社に伝わり、教科書に掲載されるきっかけとなり、より多くの生徒がペット防災に触れることができるようになることを期待しています。

ペットの防災バッグに入れるべき必需品は?一番は飲料水とフード、次にトイレパ用シーツ、ペットの健康記録カードや飼い主の連絡先、そして気持ちを落ち着かせるおもちゃや防寒着などです。もしかしたら、すでにご自分の計画があり、この機会にペットのために防災バッグを用意しようと思った方もいらっしゃるかもしれませんね!

ペット業界の従事者が作成したペット用防災バッグに入れるべき必需品