1月9日、韓国の国会は食用目的の犬の繁殖、屠殺処理、販売を違法とする特別法案を可決した。この法案可決は歴史的なものであった。この法律により、韓国の犬農家、屠殺業者、犬肉レストランのオーナーは、政府からの補償と支援を受けながら代替の生計手段へと移行するための3年間の猶予期間が始まった。この法律が2027年に施行されると、違反行為には3年以下の懲役と3,000万ウォン(約330万円)の罰金が科せられる可能性がある。
法案の採択は容易ではなかった。2023年末までに、約1,150の農場で200万匹の「食肉目的の犬」が飼育され、国内の1,600のレストランに供給されている。何十年もの間、国内外からこの取引の違法化を求める声は絶えなかった。1988年のソウルオリンピックを皮切りに、国内外の圧力に直面し、それを乗り越えてきた。
2018年の平昌冬季五輪で新たな圧力がかかったが、韓国の犬肉業者は頑なに立ち向かった。何十年もの間、国際的な批判は韓国の伝統に対する西洋文化の偏見として拒絶されてきた。犬肉取引に反対する複数の法案が提出された2023年、犬肉業者たちは歴史の流れを変えようと最後の抵抗を試みた。彼らは大統領官邸前で抗議デモを行い、すべての「食肉目的の犬」を野放しにすると脅した。
1月9日の可決は韓国以外にも影響を与えるだろう。当面、北朝鮮が同様の行動を起こすことはないかもしれないが、この動きは、いくつかの国で犬肉取引が依然として好調な東南アジア全域に衝撃を与えることは間違いない。世界最大の犬肉市場として、中国本土は岐路に立たされており、犬肉取引について真剣に検討する必要がある。中国は長い間、犬肉取引、特にユーリン市の犬肉業者によって作られた商業イベントであるユーリン犬肉祭りの開催について批判されてきた。
全国人民代表大会(全人代)の副議長である趙皖平は、この取引の非合法化するための多くの同様の法案を提出しており、昨年のものが最新。趙の提案はTikTokの動画で拡散された。犬肉業者とその支持者は批判を打ち消すために「犬肉は伝統的な食べ物だ」、「犬肉を食べることは人権だ」、「欧米の批判には下心がある」といった主張を展開している。 少なくとも2つの省では、食用として合法的に屠殺できる家畜のリストに犬が含まれている。これらの省の食肉処理規則に犬が含まれているのは、こうした主張に基づいていると思われる。 しかし、そのような主張は韓国のそれと同じくらい馬鹿げている。中国では犬肉は家庭の食べ物ではない。北京の首都動物福祉協会とヒューメイン・ソサエティー・インターナショナルによる2016年の調査では、ユーリンの住民の72%が定期的に犬肉を食べておらず、毎週食べているのはわずか12%だった。
犬肉取引は中国では一般的なビジネスではない。この国には犬農場がない。屠殺される犬のかなりの部分は盗まれたもので、他人の財産を不法に奪う行為である。一方、病気や瀕死の犬を、地域を越えて移送することは、家畜の生体輸送、家畜の疾病管理および予防法に違反している。
公共の場でしばしば行われる犬の屠殺は、それを目撃するすべての人にとって衝撃的で残酷なものだ。追跡不可能で、必要なワクチン接種の記録もない犬の肉は、公衆衛生を脅かすものである。犬肉取引を禁止することは、国の法と秩序を守ることにつながり、また他のメリットもある。世界中の多くの人々にとって、犬はパンダと同様、愛され、保護されるべき存在なのだから。また、犬肉取引の廃止は、台湾や香港など、犬肉を食べない社会と中国本土との間の障壁を取り除くことにもなる。さらに重要なことは、この取引を終わらせることは、より思いやりのある調和のとれた社会の発展を促すということだ。今こそ中国は行動を起こす時なのだ。